千鳥屋と千鳥饅頭総本舗の違いとお家騒動|喧嘩別れから生まれた二つの千鳥ブランドの真実【2025年最新】

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「千鳥屋」と「千鳥饅頭総本舗」。どちらも長い歴史を持ち、看板商品「千鳥饅頭」や人気菓子「チロリアン」「みたらし小餅」などで知られる有名和菓子ブランドです。

しかし、多くの人が一度は抱く疑問があります。

「千鳥屋と千鳥饅頭総本舗って同じ会社じゃないの?」
「どっちが本家なの?」
「なぜ似た名前を使っているの?」

実はこの2つのブランドは、ただの“暖簾分け”ではなく、戦後の経営方針をめぐる親族間の激しい対立から分裂した“お家騒動”の産物なのです。

この記事では、両者の違いだけでなく、その裏にある歴史的背景や喧嘩別れの経緯、そして現在の展開について徹底解説します。和菓子ファンはもちろん、企業史やブランドの裏側に興味のある方にも必読の内容です。

糟屋郡原町と福岡市東区で体験した千鳥の違い

糟屋郡原町にある千鳥屋を訪ねたところ、思ったより品ぞろえが少なかった。ところが、その後福岡市東区土井にある千鳥饅頭総本舗に行くと、驚くほど充実した品揃えに加え、お茶とお茶菓子まで出してもらえる丁寧なおもてなしがあった。

この体験から、「なぜ二つの千鳥があるのか?」という疑問が自然と浮かんでくる。


千鳥饅頭総本舗の始まり|400年の歴史を誇る本家

千鳥饅頭総本舗は、1630年(寛永7年)に福岡で創業したと伝わる老舗和菓子店です。

創業者は長崎で南蛮菓子の製法を学び、そこから生み出したのが「千鳥饅頭」。白あんをふんわりとした皮で包んだ焼饅頭は、シンプルでありながら洗練された味わいで、たちまち評判となりました。

やがて福岡を代表する銘菓として根付き、江戸時代から明治、大正、昭和とその名を広げていきます。

千鳥饅頭総本舗のもうひとつの代表商品「チロリアン」も、1960年代に誕生して以降、博多土産の定番として全国区の知名度を獲得しました。


戦後の動乱と親族の対立|大阪進出をめぐる分裂

戦後の復興期、千鳥饅頭総本舗の親族の一人が「関西で商売を広げたい」と考えました。大阪は経済の中心であり、新しい市場を求めるのは自然な流れでした。

しかし本家では「福岡を拠点に守りの経営を続けるべきだ」という意見が根強く、大阪進出をめぐって親族間で意見が対立します。

当初はのれん分けという形で大阪に店舗を構えましたが、やがて経営方針やブランドの扱いをめぐって深刻な溝が生じ、最終的には“喧嘩別れ”に発展。

こうして誕生したのが「千鳥屋」です。つまり、千鳥屋は本家から独立した「分家」ですが、単なる分家ではなく“対立の末の独立”だったのです。


喧嘩分家の実態|なぜ「千鳥」の名を共有できたのか?

通常、商標やブランド名は本家が強く権利を持つものですが、千鳥の場合は事情が複雑でした。

当時は現在のように商標権が厳格に管理されておらず、地域ごとの登録や使い分けが曖昧だったこともあり、「千鳥」の名を関西で使うことが可能になりました。

この結果、

  • 福岡 → 「千鳥饅頭総本舗」
  • 大阪 → 「千鳥屋」
    という二つの“千鳥”ブランドが併存することになったのです。

消費者から見れば「同じ千鳥だろう」と思われがちですが、実際には法人も経営もまったく別。親族間の関係も修復されず、以降は別々の道を歩んでいくことになります。


両社の代表商品を比較

分裂後、それぞれのブランドは独自の進化を遂げました。

千鳥饅頭総本舗(福岡)

  • 千鳥饅頭:本家の伝統を守る看板商品。白あんと皮の調和が特徴。
  • チロリアン:1960年代誕生の洋風菓子。サクサクのロールクッキーにクリームを入れた人気土産。
  • 博多土産の定番:空港や博多駅で購入可能。観光客の支持が厚い。

千鳥屋(大阪)

  • みたらし小餅:餅の中に甘辛いみたらしだれを閉じ込めた革新的商品。ヒット商品として関西で人気。
  • 千鳥サブレー:洋菓子寄りのサクサク焼き菓子。ギフト需要も多い。
  • 百貨店・駅ナカで展開:進取の気風で現代的な商品開発を行う。

お家騒動のその後|互いに歩んだ別々の道

喧嘩別れから半世紀以上が経った現在、両社はそれぞれの地域で確固たる地位を築いています。

千鳥饅頭総本舗は「伝統の味」を守りつつ、九州土産として全国的に知名度を確保。
千鳥屋は「新しい和菓子」を打ち出し、関西圏で強いブランド力を誇っています。

両社は親族関係にルーツを持ちながら、直接の協力関係はなく、今も“完全に別会社”として存在しています。


消費者が混乱する理由

両社の関係を知らない人にとって、混乱するのは当然です。

  • 名前が似ている
  • どちらも「千鳥饅頭」を売っている
  • パッケージに千鳥のマークが描かれている

こうした共通点から、旅行者や観光客は「どっちが本家?」と迷うことになります。

実際、インターネット上でも「千鳥屋と千鳥饅頭総本舗は同じ会社?」という検索が多く、消費者の混乱は今も続いています。


どちらを選ぶべき?シーン別おすすめ

  • 博多土産なら → 千鳥饅頭総本舗(チロリアンは外せない)
  • 関西で日常的に買うなら → 千鳥屋(みたらし小餅が人気)
  • 老舗の正統派を味わいたいなら → 千鳥饅頭総本舗の千鳥饅頭
  • 新しい和菓子に挑戦したいなら → 千鳥屋のサブレーや洋風菓子

まとめ

千鳥屋と千鳥饅頭総本舗は、単なるのれん分けではなく、戦後の親族間の対立という“お家騒動”から生まれた二つのブランドです。

福岡に根ざす千鳥饅頭総本舗は、伝統を重んじる老舗。
大阪を拠点とする千鳥屋は、新しい発想で和菓子を進化させる革新派。

どちらが優れているかではなく、それぞれが異なる魅力を持っていると言えるでしょう。

今後も両社が切磋琢磨し、日本の和菓子文化を盛り上げていくことを期待したいところです。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、購入や判断はすべて自己責任でお願いいたします。

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