ウーバーイーツの配達を続けている人なら、一度は「以前に比べて稼げなくなったな」と感じたことがあるのではないでしょうか。かつてはコロナ禍の影響で需要が爆発し、時給2000円以上は当たり前、悪天候時には4000円近く稼げる日もありました。しかし、最近は1400円程度の時給に落ち込み、そこからガソリン代やスクーターのメンテナンス費用が差し引かれる“実質ブラック労働”のような状況に陥っているのが現状です。
そんな中でウーバーイーツが導入したのが「フラットレート」という新方式です。表向きには「安定して働ける」「初心者でも安心」といった触れ込みで始まったこの仕組みですが、実際に稼働した配達員からは不満の声も数多く上がっています。本記事ではフラットレートの仕組み、実際の運用、メリット・デメリット、そして配達員・お客様双方に及ぶ影響について徹底解説していきます。
フラットレートとは何か?仕組みを解説
フラットレートとは「一定時間の予約を行うことで、その時間帯に特定の条件で稼働できる仕組み」です。
例えば、20時〜23時の枠を予約すれば、その3時間はフラットレート対象として稼働できる……というもの。公式説明では「安定した収入を得やすい」とされていますが、時給保証ではありません。
つまり、配達依頼が来なければ収入はゼロ円ですし、待機している時間は一切カウントされません。通常配達と同じく「案件をこなした分」しか報酬は発生しないのです。
フラットレートの表向きのメリット
ウーバー側がうたう利点は次のとおりです。
- 稼ぎを安定させられる
- フラットレート配達員には優先して配達依頼が来る
- 初心者でも安心して稼働できる
- 配達員不足を補う仕組みになる
一見すると、安定志向の配達員にとって魅力的な制度に思えます。
実際にフラットレートを使ってみた体験談
筆者が体験したのは、20時〜22時58分の3時間枠を予約して臨んだケース。
19時頃から通常稼働し、20時にフラットレート枠に突入。ところが、普段なら20時台は比較的鳴りやすいはずなのに、まさかの「10分無音」。さらに30分間、1件も鳴らないという異常事態が発生しました。
試しにフラットレートを終了すると、今度は「激安単価」で鳴りまくり……。
「これはもしや案件の調整をされているのでは?」と疑いたくなるほどのタイミングでした。
この瞬間、フラットレートの先行きに強い不安を感じました。
フラットレートのメリットとデメリット
メリット
正直、ほとんどありません。強いて挙げれば「新しい制度を試せる」という経験値くらいです。
デメリット
- 高単価案件が消える
- フラットレート中は鳴りにくくなる疑惑
- 稼ぎが不安定になり、かえってストレスが増す
- モチベーションが低下しやすい
配達単価低下の背景
かつては配達員不足により単価が高く設定されていました。しかし、現在は状況が逆転しています。
- 配達員の供給過多
- 消費者のデリバリー利用減少(外食回帰)
- インセンティブ削減
- ウーバーによるコスト調整
これらが重なり、報酬は急激に低下しました。特に「フラットレートで最低限の配達員を確保しているため、高単価を出す必要がなくなった」という構造は、今後さらに顕著になると考えられます。
配達員の質とモチベーション低下
フラットレートの導入で報酬が下がると、配達員のモチベーションも大きく下がります。
- 無音状態が続く
- 単価が低すぎる
- 労力に見合わない
こうした状況は「配達の質」そのものを低下させます。
- 料理の扱いが雑になる
- 配達スピードが落ちる
- 接客対応がぞんざいになる
結果として、利用者の満足度も下がり、注文数が減る。注文が減ればさらに単価が下がり……。
この悪循環がフードデリバリー業界全体をむしばんでいるのです。
お客様への影響と注意点
この問題は配達員だけではなく、お客様にとっても大きなリスクです。
- 料理が冷めた状態で届く
- 汁漏れや梱包不良が増える
- 丁寧さに欠ける接客を受ける
つまり「配達員の待遇悪化は、利用者のサービス品質低下にも直結する」ということです。
お客様側も、過度な期待をせず「状況によってはサービスの質が落ちる可能性がある」と理解して利用する必要があります。
他社との比較
出前館は他社と比べて配達単価が比較的高めに設定されている点が特徴です。
一方、menuは出来高制を維持しつつ、キャンペーンによって単価を引き上げることが多く、短期的に稼ぎやすい傾向があります。
このように他社と比較すると、ウーバーのフラットレートは「中途半端で魅力が薄い制度」と言わざるを得ません。
今後のフードデリバリーの行方
残念ながら、今後も単価が上昇する見込みは薄いといえるでしょう。
- フラットレートによって最低限の人員は確保済み
- 高単価案件はほぼ消滅
- 数をこなせる体力ある配達員だけが残る
こうした流れの中で、「ガソリン代込みで1400円時給」という厳しい現実に耐えられる人だけが生き残る構造になりつつあります。
一方で、最近はお友達紹介インセンティブが上がってきており、ウーバー側も新規配達員確保に必死な姿勢が見られます。しかし、配達員の総数は頭打ちで、増えるどころか減少傾向。配達環境の改善が急務といえるでしょう。
まとめ
ウーバーイーツのフラットレートは、表面的には「安心して稼げる」とうたわれていますが、実際には配達単価を引き下げ、ベテラン配達員の不満を増やす仕組みにもなっています。
さらに、配達員のモチベーション低下は「配達の質」を落とし、お客様側にも影響が及ぶ悪循環を生み出しています。今後は「単価案件を数こなせる配達員だけが残る」時代へとシフトしていくことが予想されます。
配達を続けるかどうか、どのような戦略で稼ぐかは、自分のライフスタイルや体力、コストに照らし合わせて冷静に判断することが大切です。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、行動や判断はすべて自己責任でお願いいたします。